遺族年金支給に関する解決事例

再審査請求によって行政の不支給決定を取り消した事例

(1)事例の概要

 依頼者は年金事務所に対し内縁の配偶者の遺族年金の支給を求めました。これに対し、年金事務所等は戸籍上の配偶者が存在すること等を理由に支給を認めませんでした。そこで、年金事務所等の却下処分の取消しを求めて再審査請求をした事例です。

(2)解決内容 

再審査請求した結果、社会保険審査会は、こちらの主張を認めて年金事務所等の却下処分の取消決定をしました。

(3)所   感

 配偶者が亡くなった場合、遺族年金を受給できる場合があります。事実婚関係であっても同様であり、内縁の配偶者が亡くなった場合でも、条件を満たせば、遺族年金を受給できる制度となっています。

そして、戸籍上に配偶者が存在する場合で内縁の配偶者も同時に存在するときは、戸籍上の配偶者を優先的に取り扱うべきとされます。ただし、戸籍上の配偶者との婚姻関係が実体を全く失っていると認められるのであれば、このような場合でも内縁の配偶者に遺族年金の受給資格が認められるとされています。

この婚姻関係が実体を全く失ったと認められるか否かは、諸事情を総合考慮して判断されることになります。

この点に関し、近年では多様な夫婦の在り方が考えられるところです。現実には個々の夫婦ごとにその距離感や生活スタイルが異なるといえるため、『婚姻関係が実体を全く失ったか否か』等の要件についても、個々の夫婦それぞれの実態をよく観察した上で判断する必要があると感じます。